南沙織/ともだち  初めて買った南沙織のシングルがこれである。
 沖縄から上京した少女は、垢抜けたセンスと英語が堪能、明るく素直なキャラクター、そしてなによりハーフってことで日本の中の異国を感じさせられた。
 「東京で一旗揚げてやろう」などという俗っぽい欲は微塵も見られず、ただただ彼女の持つ伸びやかさに魅せられてしまったのである。
 当時、小柳ルミ子と天地真理と共に「三人娘」と称されていたが、どう見ても3番手で他の二人に一歩後れをとっていた印象だったが、ひたすらマイペースの彼女に、我ら根強いファンは惜しみない声援を送っていたものだ。
 今となっては、南沙織ファンであったことは「誇り」だ。
 アグネス・チャンもまた、異国からの少女であったが、すれてない純朴な少女という印象だった。
 たどたどしいニホンゴで日本人以上に心情を表現していた。単なる一時代のアイドルということでなく、彼女の表現力は評価されて良いものに思えるのだが・・・。
 この曲は編曲をキャラメル・ママが担当している。
 彼ら若い世代が歌謡曲の制作に携わってきたことで、洋楽との差がかなり縮まってきた。
 よりリズムがポップになり、既成の歌謡曲ととは明らかに異質な、今で言う「J-POP」の始まりはこの頃からだったのではないだろうか。
アギネス・チャン/ポケットいっぱいの秘密
あしだあゆみ/時にはひとりで  75年のこの曲がいしだあゆみのベストトラックじゃないかと思っている。
 彼女は独特な唱法の持ち主で〜ノンビブラート唱法とでも呼ぼうか〜声量の不足・音域の狭さをプラスに生かして、他の歌手とは違う独自のあゆみワールドを作った。
 この唄い方をする歌手は、西田佐知子と彼女くらいではないだろうか?
 マイナスを逆手にとって自分の世界を作り上げてしまう彼女とそのスタッフ達には大いに学ぶべきである。
 このレコードはパチンコ屋で聞いて、すぐ景品交換所に走った一枚である。
 この曲あたりから彼女の歌唱法が変わってきた。口先でさえずるような小賢しいテクニックを使ってきたのである。個人的な趣味から言えば、ストレートに歌う以前の唄い方の方が好きだった。
 長く続いていた有馬美恵子〜筒見京平から作家陣が変わったことの影響もあるのだろうか?
 しかし製作陣が変わろうとも、決して変わらないのが篠山紀信のジャケット写真だ。
 彼女も、暮れそうで暮れない夕暮れ時は、心が脆くなっていたんだろうか?
 この時期彼女は「シンシア・ストリート」というアルバムを発表したのだが、このLPは大傑作。機会があれば是非聞いて貰いたいアルバムである。LA録音で、すごく伸び伸びと歌っている。きっと、「芸能界」というものに異質さを感じていた頃なのではないかと思う。
南沙織/人恋しくて
梓みちよ/メランコリー  吉田拓郎が提供した作品である。
 当時飛ぶ鳥を落とす勢いの拓郎は、いろんな歌手に歌を書いていたのだが、楽曲としての出来の良さはこの曲が一番なのではないだろうか。
 作家としての吉田拓郎を考えてみると、彼が曲を提供した歌手はほとんどが女性である。男性歌手では森進一/襟裳岬しか思い浮かばない。
 「そりゃーどーせ書くのなら女に書いた方がいーもんね」って感じである。役得もあるかもしれないし・・・。こーゆースタンスは良く分かる。何をやるにせよ、自分が一番楽しくなきゃ嫌だもんね。
 姉弟愛が一番似合わないようなキャラの持ち主が、故郷に残してきた弟がぐれるのを嘆く美しい曲である。
 上京するということが、故郷を家族を、全て捨て去ってしまう一大決心だった頃の歌である。
 東京には夢があるはずだったのに、現実は薄い毛布にくるまって安普請のアパートで淋しいひとり暮らしをしている姉ちゃんの歌である。
 でも、この姉ちゃんは、弟は思うけど何も手をさしのべようとはしない。ひたすら自己中心的である。
 北原ミレイの歌もそうだが、歌からドラマを連想してみるのも、歌謡曲ウォッチャーの楽しみなのだ。
内藤やす子/弟よ
内藤やす子/やさしさ尋ね人  「弟よ」から4年たった姉ちゃんは確実に変わっていた。
 「煙草のついでにライターの日で、男のくれた金を燃やすよ」〜都会は彼女をすさまじい女に成長させてしまった。
 このレコードはAB面とも、阿木耀子&宇崎竜堂の作品である。
 内藤やす子は、R&Bだかブルースだか、ちょっと異質さを放っていたが、私はこのレコードを聴いて初めて彼女を評価した。
 B面の『逆流』がまた素晴らしい傑作なのである。
 破滅型のミュージシャン、私小説的ミュージシャンは、よりよい作品を生み出す為に、追いつめられて自己の行く末は自覚しているのならばクスリの使用は認められるべきである。
 健康なチャーリー・パーカーや尾崎豊だったとしたら、あんなにも説得力のある作品は生み出せなかったように思うのだが・・・。
 
 高校2年の春休みだったと思うが、たまたま通りかかった銀座ヤマハホールでDTBWBの無料コンサートを見たことがあった。
 その時にこの曲を演奏していたかは記憶にないが、「唐獅子牡丹」や、ちょっと放送禁止になっちゃうんじゃない?って感じの歌を歌っていた。
 田舎から遊びに来ていた純朴な少年には、かなり刺激的な出来事だった。
 このレコードのB面「恋のかけら」は良質のバラードである。こっちをA面に持ってこれなかったあたりに、当時の彼らのジレンマが見える。
 ちなみに私が初めてすった煙草は「ハイライト」、今すっているのは「ロンピー」。身体に悪いこと、大好きです。
ダウンタウン・ブギウギ・バンド/スモーキン・ブギ
林寛子/カモン・ベイビー  20年ぶりのクラス会で昔好きだった娘に会って、彼女の変貌振りに仰天し、あのとき告白していなくってよかったー、と胸をなで下ろしてしまう気分にさせてくれるのが、最近の林寛子さんです。
 あの頃、みんなの前ではあなたに興味のない顔をしていましたが、実は相当気にとめていた存在だったのです。
 少しドスを利かせて「カモン、ベィビィ!」と歌うあなたに拍手を送っていたものでした。
 想い出は美しいものとして大事に取っておきたいのです。願わくば、TVの露出は止めていただきたいと思っているのですが、いかがなものでしょうか?
 正直言って彼女のデビューは衝撃的だった。
 ひとえまぶたのバタ臭いオネーチャンが、伸びやかに通る声でこれでもか、っていうくらい楽しそうに歌うのは、拍手もんだった。
 彼女に続いてデビューした伊藤咲子が、彼女の二番煎じって印象から抜け出せなかったことを見ても分かるように、岩崎宏美の出現は、当時のアイドル路線に与えた影響は大きいと思う。
 ただ、音程の確かさ声量の豊かさが、歌唱力(表現力)とイコールだと勘違いしてしまったのが、スタッフを含めた彼女の過ちだったのである。
 説得力のある歌を歌うのならば、自分が何を歌いたいのかをスタッフに分かって貰う積極性が欲しかった。
 個人的には、この歌よりも「ファンタジー」の方が好きだった。
岩崎宏美/センチメンタル

home